株式投資とその周辺

初心者の勉強記録です

ふりかえり:2021 株式投資編

 以前の記事に記載した経緯で、資産運用への強烈なモチベーションがあった私は仕事へのやる気と反比例するように株式投資の面白さに没頭していくこととなった。パフォーマンスに関しては修正ディーツ法できちんと計算していないのではっきりしないが、ほぼ毎月同一額を入金していたので期中平均運用資産で均して概ね近似できるとすると、ほぼTOPIX通りとなっている。特に前半は低βの低ミックス係数で放置される不人気銘柄を主軸にポートフォリオを組んでいたために、指数なみのパフォーマンスであればまずまず良いのかもしれない。

 後半で運用資産が伸び悩んだ理由は複数ある。具体的な銘柄名を出すとすると、アルミニウムの市況とずれていることや今後高炉がトピックになっていく中で不適切に割安に放置されていると考えていたSECカーボンに20%近くベットしていたもののカタリストが発現しなかったこと。タイミングの問題かもしれないのでこれはまだ反省するには当たらない。

 その他の銘柄では、反省点がある。第一にファブリカのエントリータイミングが甘かったこと。安全域が浅い状態で買い始めてしまったし、その自覚もあったものの少し前に企業価値に興味のないモメンタマーが購入していたために安全域が深くなってカタリストを待つよりも、KPI開示や四半期業績を見て業績↑になってボラティリティが発生するタイミングで高値で購入してくれる人がいるはずだと、安全域が浅い段階で購入してしまった。実際に私が購入していた金額は来年の決算で30%成長してその後無成長ならフェアバリューといった程度だったので、今期で無成長となってもフェアバリューとなるまで待っても良かったように思われる。しかしそんなタイミングは来ないかもしれないし何とも言えない。企業価値定量化にあまり興味がないモメンタマーが扱う株については市場の雰囲気もおそらく大切だろうが、しかしそれだと必要なのは市場の雰囲気の先読みみたいな本来ほとんど不可能なスキルになってしまう。となると、それなりの安全域で打診買いして、段階的に買っても良かったのかも、などと考えても結局売買タイミングを読むのは株価の上下を読むことであまりいけてないようにも思う。また、CPを持つことも計算上の期待値的が下がるのであまり好きになれない。

 堀の深いかつ持続的な成長が見込める企業になればなるほど短期的な需給要因でのボラティリティはホルダーにとってどうでもよくなるだろう。これまではシケた銘柄が一瞬のカタリストで跳ね上げる時に利確してその資金をローテーションをしていた。これは決して投資ではなく、どちらかというと時間軸の長い粘着質な投機家で、これには安全域が深いことが大切だった。しかし、それなりの成長性を高い確度で見込む企業がそんなに深い安全域まで掘ることはあまりない。安全域にこだわらず、雰囲気による下落に耐えて、ルックスルーと利益・資産を見ていきながら入金してポジションを積み立てていくことを重視していきたい。想定していたストーリーが違うなら売るけれど、雰囲気の下落では売る気になれない。ファブリカは成長性に比して割安な状態に置かれていることは確かだし、その理由は高値で購入したモメンタマーがホルダーにまだ残っているからでそういう人たちはマザーズの下落で追加証拠金が必要になっているかもしれないし、本質的な価値と無縁な下落に思われる。反省するべき点があるとしたら、他人の売買動向をあまり見ていなかったこと。でもこれも本質的なことではないのかもしれない。本質的価値という言葉がいくら笑われても信じる企業価値が崩れないなら下落に耐える精神性だけあれば良いという気もする。

 次の含み損銘柄は相模ゴム。営業CFが確実にコロナがあっても増加していること、償却が思いからEPSがあまりきれいに見えないことで業績が素直に株価に反映されていないのだろうと株価の割安さが理解しやすくかつ改善されるストーリーが見えやすかった。また、高品質な0.01mmのポリウレタンコンドームはニッチな業種で堀が深く、途中でナフサ価格の上昇があったものの利益率が落ち込むこともなく、また仮に原材料費↑が問題となったとしても高級品のために価格競争に巻き込まれにくく商品価格に上乗せできそうに思われた。最近の下落理由ははっきりしないのが腑に落ちなくて嫌なところ。上がらない銘柄を雰囲気が悪い時にみんな持ちたくないのかもしれない。マレーシアの工場は豪雨被害を受けていないのではないか。少なくとも野村證券は私とほぼ同じタイミングで買いに入っていて、その後ほぼ7%をずっとホールドしている。機関投資家は理由なく売買できないだろうし、機関投資家と同じ判断をしているのなら、ひとまず良いのではないか。ここもファブリカと同じでルックスルー利益や一株あたりの未来のFCFを信じて購入しているので、短期的な値動きで売るのも気が進まない。

 上記のような形で、私が含み損を抱えている銘柄が複数あるのは運用手法が粘着質な投機家的なそれからふつうの投資家に代わったことで生じている部分が大きい。まだ保有期間も短いのでもう少し経過をみたい。