株式投資とその周辺

初心者の勉強記録です

日本インシュレーション

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ゾノライト系ケイ酸カルシウムを用いた耐火物・保温材のメーカー。①建築関連での耐火物②プラント関連の保温材の二つがメインのよう。①については非住宅の鉄骨造の着工延床面積(1)の動向に一定のタイムラグを置いて連動するというアナリストレポートでの記載あり。ちなみに2021年は民間の建築主は 11,687万㎡ ( 前年比 7.8%増, 4年ぶりの増加)、非居住用は 4,387万㎡( 同 10.5%増, 3年ぶりの増加)。さらに使途別でみると民間非居住用では事務所は 709万㎡(前年比 36.7%増, 4年ぶりの増加)、店舗は426万㎡( 同 9.6%増, 3年ぶりの増加)、工場は675万㎡( 同 17.9%増, 3年ぶりの増加)・倉 庫は1,303万㎡( 同 14.8%増, 2年連続の増加)となっているなどとよさそう。また、倉庫は2年連続で増加となっており、ECの増勢もあるのかもしれない。(倉庫株も好きで保有している。)

そういえば先月には物流倉庫の火災が先日ニュースになっていた。(2)倉庫の火災って大変なんだなと思って国土交通省(の管轄なの?)の資料から防災基準を見てみると、3階以上の階が200㎡以上の場合には耐火建築物に、1,500㎡以上の場合には準耐火物建築にすることになっているらしい。(3)非住宅の着工数に業績が連動するというのは、ここで示されている耐火建築物に該当するものが非住宅に含まれているからということと推測した。直近の状況を見る限り事業環境は悪くなさそうに思われる。

競合については私が調べてチマチマ書くよりもアナリストレポートからの引用をした方が早いと思われるので以下は引用「ゾノトライト系けい酸カルシウム製品を代替しうる製品としては、トバモライト 系けい酸カルシウム製品、ロックウール製品が挙げられる。いずれも、ゾノト ライト系けい酸カルシウム製品ほど高温には耐えられない。トバモライト系け い酸カルシウム製品とは、特にアジアにおいて、建築やプラントの用途で競合するが、ロックウール製品は用途が異なっており、競合することはほとんどない。なお、中国にはけい酸カルシウムのメーカーが100社ほど存在するが、その大半がトバモライト系けい酸カルシウム製品を製造している。中国メーカーが製造する製品は低価格であり、ユーザーからすると、低価格をとるか、高性能をとるかといった選択になる模様である。国内の建築関連では、けい酸カルシウム耐火被覆材(鉄骨造建物の柱・梁の耐火被覆)の市場における同社のシェアは 80%程度と推察される。小野田化学工業(東京都港区)のけい酸カルシウムで製造される耐火建材が競 合品となるが、大きな脅威とはなっていない。 国内のプラント関連では、けい酸カルシウム保温材の市場における同社のシェアは50%程度と推察される。プラント向けにけい酸カルシウムを供給する競合先として、明星工業(1976 東証一部)とニチアス(5393 東証一部)が 株主となっている日本ケイカル(静岡県浜松市)、エーアンドエーマテリアル (5391 東証一部)のグループ会社である朝日珪酸工業(大分県大分市)が 挙げられる」高品質な商品で高いシェアを持っていると思われ、定性的には優良企業のように思われる。ただ成長性という観点からみると内需企業でぱっとしない印象がぬぐえないのだが、ベトナムにも子会社があり今後海外展開も期待、というところなのかもしれない。(しかし減損もあった。)

続いて定量的な観点から見てみる。優良企業でも安くなければ意味がない。以下はIRBANKからの引用である。FCFは概ね8億円として割引率を7%とすると無成長の事業価値は114億円程度となる。

IRBANKから

次に財務面を見てみると、控えめに見て(流動資産のうち現金同等物や有価証券などを合わせたものから負債をすべて引いた額で)50億円程度だろうと思われる。無駄に財務が堅くてという感じでもないのかROIC 9%程度と高めの水準に思われる。ふと気になって業種別ROICとか書いているとこあるのかなと思って調べてみたらみんなの運用会議にあった。耐火物は6.7%と記載あり。ここの他にどこが入っているのだろう。(4)

現状の時価総額が77億円だから確かに計算上は安いは安いのだ。定性評価的にも大きな問題があるようには思われない。割安に放置される理由としては無成長企業だから、時価総額が小さく流動性に乏しいため、などが考えられる。後者に関しては個人投資家で運用額が小さいからそんなに問題にならないように思う。前者については無成長が十分に織り込まれた株価になっている印象。海外進出が成功して成長することがあれば企業価値が増大しそう、成長しないにしても市場参加者の多くがそう考えているのであればダメージはないし、配当は4%程度来るのでそんなに問題ないように思う。

 結局利益を得るためには織り込まれていない変化を見つける必要がある。最近の変化らしい変化と言えばタイカライトの生産設備の増強。(5)工場を強化して売り上げアップして利益もアップ!みたいなのが製造業の分かりやすいところで好き。どのくらい生産可能な量があがるの? 無成長と思ってたけど供給側の問題で成長がぱっとしていなかっただけなのかな? みたいなことをつきつめないと本当は無意味なんだよね。どうも優良企業なら無成長でもいいやでホールドしてしまう。直近の決算はいまひとつであったが、高シェアで高品質な製品がウリなのであれば、値上げはしやすいのではないかと思われる。最近キュービーの決算説明資料の値上げによる製品の売り上げの変化をみていたが、低価格と高価格は比較的影響がなく、中等度のレベルのものに影響がでるU字カーブとなっていたことが興味深かった。

ここで主に参考にしたアナリストレポートは(6)である。盆栽ポートフォリオの一角には良いかなと思って長期保有の予定。

 

追記

成長戦略はやはり海外事業なのだろうか?

https://magazine.toushiikusei.net/e9539.html

決算書のセグメントが分かりにくくて読みにくい

保温剤は環境的観点で注目されたりしないのか?(発電所関連の記事を見た記憶があるがぱっと検索しただけでは見つけられなかった)

日本国内のプラントはレイズネクストを以前保有していたが斜陽なのではないか

 

同業他社比較として明星工業(1976 東証一部)とニチアス(5393 東証一部)が 株主となっている日本ケイカル(静岡県浜松市)、エーアンドエーマテリアル (5391 東証一部)のグループ会社である朝日珪酸工業(大分県大分市)あたりについても後で書きたい。

 

(1)建築着工統計調査 建築物着工統計 年次 2021年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)

(2)茨城 物流センター火災から丸4日も鎮火せず 数日かかる見込み | NHK | 事故

(3) kento197_14_shiryo1-9.pdf (fdma.go.jp)

(4) ROICの業界平均を出してみる | みんなの運用会議 (double-growth.com)

(5)日本インシュレーション- 不燃内装意匠材 「タイカライトウッド」生産能力を増強しました。 - ニュースリリース - SmartSection (jic-bestork.co.jp)

(5) 5368200331.pdf (holistic-r.org)